ダイワベイトブレーキシステム

Daiwaのベイトリールはとても素晴らしく、性能が良いものがとても多いです。

そしてベイトリールの性能を語る上で【ブレーキシステム】がとても重要になってきます。

しかもDaiwaのブレーキシステムというのはスプールに付いているため、スプールを交換するだけで、まったく別のベイトリールになるという特性もあります。

その為、ブレーキシステムの特性を知っていれば、スプールを複数用意するだけで、様々な釣りに対応できるのです!

そのためにはDaiwaのブレーキシステムを、詳細に把握していく必要があります。

Daiwaのベイトのブレーキシステムの構造ってどうなってるの?

Daiwaのブレーキシステムの構造は、サイドパネルにあるみぞにスプールのインダクトローラー(以下「ローター」とする)が入って回転を制御する仕組みになっています。

回転を制御する仕組みの詳細はサイドパネルの溝に小さい磁石が無数に入っており、ローターが回転すると渦電流うずでんりゅうが発生し、回転方向と逆方向に力がかかる仕組みを利用したブレーキになっています。

そのため、スプールが速く回転するほどブレーキ力が強くなり、回転が弱まるほど磁界が弱くなるためブレーキ力も落ちていきます。

つまり、初速では強いブレーキが働き、回転が落ちるとブレーキも弱くなっていくのです。

よくDaiwaのマグネットブレーキは一定のブレーキがかかると言っているサイトがありますが、それはまったくの嘘ですので注意してください。

また、外部ダイヤルに関しては0~20段階が設定されており、外部ダイヤルを変更すると、サイドカップの溝の外側が回る仕組みになっています。

そうすることで磁界が発生する箇所の長さを変えて、ブレーキ力を調整しているのです。

Daiwaのブレーキはマグネットを使ったとても画期的なブレーキシステムです。

更にSVやマグフォースなどのスプール側の構造を理解することでDaiwaのベイトリールの性能を理解できますので早速紹介していきます。

スプール側のブレーキシステムの特徴とは?

スプール側のブレーキシステムはどこで変わってくるのでしょうか?

スプールは主に【ローター】と【スプリング】の二つの違いでブレーキのかかり方が変わってきます。

2020年現在のDaiwaのブレーキは【SV】【マグフォース】【マグフォースZ】【マグフォースZ-PE】【AIRブレーキ】【マグフォース3D】【HLCチューン】が存在しています。

それぞれに特徴がありますので、詳しく紹介していきます。

SVとは

現在Daiwaが一押ししているブレーキシステムであるSVです。

SVはストレスフリーバーサタイルの略であり、簡単に言うとストレスなく汎用的はんようてきに使えるブレーキシステムということです。

どういうことかというと【バックラッシュしにくくて、どんな重さのルアーも扱いやすい】ということです。

SVはベイトキャスティング初心者でも扱いやすいオススメのブレーキシステムです。

扱えるルアーの重さに関してはロッド側の性能やスプール径やスプールの重量によって変わってくるため一概には言えませんが下限は5gから上限は無く、ビッグベイトも問題なく扱えるブレーキシステムになっています。

ローターに関しては軽く、初めからサイドカップの溝の方に、せり出している位置になっています。

SVスプールとマグフォースZ-PEローターの出方
手前がSVスプール、奥がマグフォースZ-PEスプール

また、スプリングも柔らかいスプリングを採用しており、引っ張ってみると、軽い力でローターが出てきます。

こういった構造になっているため、最初からローターが溝に深く入っているためブレーキがかかりやすく、スプリングが柔らかいため、溝にローターが残り続けるため、最後までしっかりとブレーキがかかった状態を維持します。

SVをソルトシーンで実際に使ってみると、軽量ルアーに関してはX-80jrやサスケSF75、Dコンタクト50などのライトルアーも9フィート台のMLクラスのロッドで扱うことができました。

投げにくいビッグベイトに関しても、初めから終わりまでブレーキがかかっているため、ルアーが回転することを抑える役割も果たしており、飛距離がいらない場面ではまったく問題なく扱えます。

もう一つのメリットとしては、ブレーキ調整がきちんとしていれば、ノーサミングができるほど制動力が高いのも特徴です。

デメリットとしては、飛距離が出にくいというところです。

といっても、実用できる程度の飛距離は問題なく出ますが、後述する飛距離重視のスプールに比べると劣ってしまいます。

最後にSVが有利に使えるソルトシーンを紹介します。

  • 5~10gを使って楽しむメッキや小型青物、セイゴなどのライトゲーム
  • 小中河川でのシーバス、チヌゲーム
  • 小河川でのビッグベイトゲーム
  • 色々な重さのルアーを使いたい
  • フロートリグを使ったライトリグの遠投

マグフォースとは

マグフォースの特徴はとにかくブレーキを強く効かせてバックラッシュを抑えた設計であるということです。

その為、ローターは厚く設計されており、SVに比べてより強い磁界が発生します。

ジリオン マグフォーススプール

また、スプリングはなく固定式となっています。

そのため、強くブレーキがかかるため飛距離が出ません。

では、どういったときに使えばいいのでしょうか?

それは悪天候時や近距離しか使わない場面で真価を発揮します。

マグフォースブレーキは初めから終わりまでブレーキがしっかりかかるため、強風の向かい風などの通常ではキャストも難しい悪天候でもキャストすることができます。

また、ビッグベイトゲームでも強い制動力がかかるため、快適にキャストができます。

マグフォースブレーキが活躍するソルトシーンを紹介いたします。

  • 強風の向かい風等の悪天候でライトルアーをキャストする場合
  • 小河川の近距離でのシーバス、チヌゲーム
  • 強いブレーキシステムを活かしたビッグベイトゲーム

マグフォースZとは

マグフォースZは飛距離に重点を置いたブレーキシステムです。

ローターはマグフォース同様に厚いですが、スプリングが内蔵されており、可変式のブレーキになっています。

スプリングはSVに比べて固く、引っ張るにも力がいりますし、引っ張った状態から離すと「パチッ」と言うほど強く戻ります。

スティーズ 1016G1 マグフォースZスプール

遠投をする際に最も重要なのは初速の制御と最後はブレーキをなくすことです。

マグフォースZはまさにそのブレーキを再現しています。

デメリットとしてはスプリングが固いため、近距離の場合はローターがせり出してこないため、ブレーキが機能しないことです。

その為、マグフォースZで近距離を攻めるにはサミングの技術が重要になってきます。

また、同様に飛距離がでないライトルアーや飛行姿勢が極端に悪いルアーを投げると、ふとした時にいきなりバックラッシュしてしまうこともあります。

マグフォースZはブレーキがシビアなため、キャストやサミングに慣れている人に向いているブレーキシステムです。

それではマグフォースZブレーキで使えるソルトシーンを紹介します。

  • 中大規模河川、サーフのロングキャスト
  • ライトショアジギング、ショアジギング
  • 12cmクラスのミノーやシンペン、20g以上のバイブレーションゲーム

マグフォースZ-PEとは

マグフォースZ-PEとはマグフォースZをPE使用専用に設計したブレーキシステムです。

PEの特徴はラインがフロロやナイロンに比べて軽いため、結果的にスプール重量が軽くなります。

その為、初速の回転が高回転になりやすいため、強いブレーキ力が必要になります。

しかし、その後はなるべくブレーキを落として飛距離を伸ばしたい。

そういった矛盾を解決したブレーキシステムになります。

具体的には、ローターの厚みを少し薄くして、ローター下部に突起を付けて、回転すると遠心力で突起がせり出してきて制動力を上げていきます。

そうすることで、ブレーキ力はマグフォースZに比べて全体的に弱くなっていますが、突起により初速は強いブレーキを生み出しています。

morethan PE G1 マグフォースZ-PEスプール
ローターの底部に突起が2つついており、ローターが出てくるのと連動して突起が出てくる仕組みになっている。

ソルトシーンにおいては基本的にPEを使用する場面がとても多いため、このブレーキシステムが一番向いているかもしれません。

ただし、マグフォースZと同様ブレーキシステムがピーキーなため、ビッグベイトゲームには向いていません

それではマグフォースZ-PEのソルトシーンでの使い道について紹介します。

  • ライトショアジギング、ショアジギング
  • 中大規模河川、サーフのシーバス、チヌゲーム全般
  • 中型青物までの飛距離が重要になる場面

AIRブレーキとは

DaiwaのAIRブレーキはベイトフィネスリールに搭載されているブレーキシステムです。

現在Daiwaのベイトリールでソルト対応のフィネスリールはとても少なく、「ALPHAS AIR TW」しかありません。

しかしALPHAS AIR TWはとても素晴らしいベイトフィネスリールですのでもし興味があれば使ってみてください。

AIRブレーキの特徴は何といっても軽いルアーをキャストするために生まれたブレーキシステムです。

ローターはとても薄く軽く作られており、柔らかいスプリングが採用されています。

ALPHAS AIR TW AIRスプール

全ブレーキシステムの中でも一番軽いルアーが投げられることが特徴です。

具体的には1g以下のリグでも投げられます。

デメリットとしてはあまり重いルアーを投げることに向いていないことです。

具体的には、重くとも15gまでのルアーにした方がいいでしょう。

というのもAIRブレーキ採用のスプールにはマイクロボールベアリングが採用されており、更にスプール自体も軽く薄く作られていますので、あまり重いルアーを投げると破損につながるためです。

それではAIRブレーキのソルトシーンの使い道を紹介します。

  • アジング
  • メバリング
  • ライトロックフィッシュゲーム
  • チニング
  • ライトゲーム全般

マグフォース3Dとは

マグフォース3Dとは特殊なブレーキシステムとなっています。

3Dという名前の通り、3つのシステムを入れ替えることができる特殊なブレーキシステムです。

  • MAXBREAK(一番強いブレーキ、マグフォース相当)
  • ALLROUND(中間のブレーキ、SV相当)
  • LONGCAST(一番ブレーキが弱い、マグフォースZ相当)

サイドカップにダイヤルがついており、上記の3タイプを切り替えることができます。

具体的にはダイヤルを操作するとサイドカップの溝がローターに対して、離れたり近づいたりして変更されます。

現行のモデルでは「Z BLACK LTD」のみに搭載されています。

このブレーキシステムをソルトシーンで使う場合に役に立つ場面は以下になります。

  • 5g以下のルアーを使用するライトゲーム以外の釣り全般

HLCチューンとは

HLCとは(Hyper Long Cast)の略で、文字通り遠距離特化のブレーキシステムです。

現行では「ジリオンTW HLC」のみですが、ジリオンシリーズすべてに互換性があるため、私は「ジリオンTW HD」にHLCスプールを使用しています。

構造としては上記で紹介した「マグフォースZ-PE」と似たシステムです。

HLCスプール

写真のローター下部にある突起が初速のブレーキをサポートする仕組みです。

このスプールは、36Φのスプールの為、遠距離のキャストでの安定性と飛距離はダイワで一番です。

デメリットとしてはスプールが重く、スプリングも固いため、ライトプラグや近距離が苦手な点です。

このシステムをソルトシーンで使う場合に向いているシチュエーションは以下になります。

  • 大河川での30g台のバイブレーションやシンペンのロングキャスト
  • ショアジギング
  • サーフゲーム

まとめ

Daiwaは様々なブレーキシステムを出しているため、ベイトリール選びをするときに迷うこともあると思います。

また、Daiwaのスプールは互換性があるものもあるため、一つのリールで複数のブレーキシステムを使うこともできます

これはDaiwaしか持っていない特性の為、ぜひDaiwaベイトリールを使う際はぜひ参考にしてみていただければと思います。